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20170312:新材料の実用化の難しさ [ただの私見]

 少しだけ真面目な事を・・・

 大学も企業も、既存材料の改良は無論の事、新たな機能を持つ材料の創出に向けた研究開発活動が極めて盛んです。
 資源に乏しいと言わざるを得ない日本ですから結構な事です。
 異論を唱える人はおられないでしょう。

 文部科学省による大学関係スーパーコンピュータ、所謂スパコンの利用状況を調べた結果では、新しい医薬・医療の研究開発・実用化を含む創薬・生命科学分野の利用が30%を超えて最も盛んであり、更に分子レベルに迫るナノテクノロジーや関連材料の研究開発・実用化分野での利用20%弱を加えると50%強となっているそうです。

 が、残念な事に実用化の確率は決して高いとは言えません(特に日本に限った話と言う訳では無いと思います)。

 つい先だっても、バイオベンチャーとして脚光を浴びていた UM* ファー*社がインフルエンザ・ワクチンの開発・実用化に失敗し、巨額の損失を計上しています。
 ほんの6-7年前は高い評価を得ていたワクチン製造技術が一転して実用化意義無しと評価され、新薬としての承認が遠のいた事が原因とされているのです(日本経済新聞紙:2017年2月23日付け)。

 現実は極めて厳しい。
 バイオベンチャーでは特に目立つと感じていますが、アカデミアの研究者が実験室レベルで高い機能・新しい機能を示す材料を発見、若しくは開発すると、すぐさま成果を発表し、資金を募ってその実用化を目指すベンチャーを立ち上げる例が多い(大学法人制度になってからは特に)。

 しかし、研究室規模で開発された材料と、私たちの日常生活の場面で活用される実用化材料の間には、資源環境問題・安全性・生産の規模とその安定供給性・流通・コスト等、困難極める解決すべき課題が山積しているのが普通で、これ等を解決するには多くの資金・労力・日数を必要としますが、本来、アカデミアの方々の得意とするところではありません。

 加えて、既に実用化されて市場を形成している既存材料提供者側も利益維持の為に改良に向けた研究開発活動を加速するので、新機能材料と言えども、すんなり市場形成が進むにはハードルは極めて高いのが普通です。

 アカデミア側の当事者の方々の多くが、この辺の事情をご存じないか、或いは "良いものが受け入れられる筈" との想いから軽視される傾向が強いのです。
 現実の世界では、“良いから受け入れられる筈” と言う論理は成立するとは限らないのです。

 自分の経験に過ぎませんが、アカデミア側だけで閉じて活動するのでは無く、企業側との連携を見極める事が重要で、仲立ちを得意とする人材をお仲間に加える事が望ましい。

 更に "標準化" が重要で、日本工業規格(所謂JIS)化に "先だって" 国際標準化機構(ISO)の該当する分野での主導権確保が必要と考えますが、経済産業省が重要視しているにもかかわらず、他省、大学や独立行政法人(=所謂国の研究機関)側の感度が高いとは言えない。

 その点、欧州は狡っ辛い程に巧く立ち回っているのが現実なのです。
 欧州の現実は、私たちがメディアから受ける印象とは異なり、 "Europe, the First" なのです。
 日本も成果だけを先取りされて、国際標準化に遅れを取り、市場進出で後手々々に回るお人好しをそろそろ止めて欲しいのです。
 尚、以上は "最近流行りの自国第一主義" を謳った訳では無く、余りに遠慮し過ぎて無口な日本の現状を愁いているものです。


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